Kiki

プリズン・サークルのKikiのレビュー・感想・評価

プリズン・サークル(2019年製作の映画)
4.3
更生とは何か?

「昔むかしあるところに、嘘しかつかない少年がいました・・・」

舞台は島根あさひ社会復帰促進センター
「TC(therapeutic community)回復共同体」という教育プログラムを進める日本で唯一の刑務所
運営するのは、心理や福祉などの専門性を持つ"支援員"と呼ばれる民間職員

犯罪者と呼ばれる彼らから出てくる言葉にじっと耳を傾ける136分
罪や償いを語る以前に円(サークル)の中では、子どもの頃の記憶に蓋をしていたり、こじ開けてグラグラ揺れだす若者。虐待やいじめ、暴力で抑え込まれた非情の歪みが生んだ無感情。
…コントロール不能だった受刑者が自分の過去を受け入れることで、少しづつ解放と懺悔を語る映像記録。

サンドアートで過去の出来事を視覚表現する手法は心に刺さった。私もこの国の「罪と罰」についてほとんど知らない。
「暴力は連鎖する」そうじゃないと思いたいのに…


途中ふと、是枝監督の「誰も知らない」の子供たちが頭をかすめ、「恥ずかしいけど…ぎゅうって抱きしめて欲しかった」という言葉に涙が溢れた。優しく語る心の叫びもあるんだな…

ただ必ずしも変化が期待出来るとは限らない。。

取材許可が下りるまでに6年、撮影2年、公開までに10年、厳しい制約の中やっと日の目を見た作品!
ロングラン上映していて間に合ってよかった。
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