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リチャード・ジュエルのakihiko810のレビュー・感想・評価

リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)
3.8
クリント・イーストウッド監督の、アメリカのえん罪事件の実話映画。

1996年7月27日、警備員のリチャード・ジュエルはアトランタ五輪の会場近くの公園で爆発物を発見した。リチャードの通報のお陰で、多くの人たちが爆発前に避難できたが、それでも2人の死者と100人以上の負傷者を出す大惨事となった。マスメディアは爆発物の第一発見者であるリチャードを英雄として持ち上げたが、数日後、地元紙が「FBIはリチャードが爆弾を仕掛けた可能性を疑っている」と報じた。それをきっかけに、マスメディアはリチャードを極悪人として糾弾するようになった…。

いわゆる典型的な「保守系白人」でどちらかというと非エリートな人物が主人公。しかもデブでオタクとステレオタイプ。事件を救った英雄から一転、極悪人になるわけだが、世間(メディア)の手のひら返しっぷりがまぁ惨い。
それに母子とくせ者弁護士で立ち向かっていく…というストーリー。
こういう実話系はエモーショナルに描こうとすると、嘘くささが出てしまうものだが、本作ではその塩梅がよくできていると思った。
リチャードの母が無実の冤罪をする場面がこの映画のハイライトで、胸を打つ場面だった。
しかし、えん罪のきっかけとなった女記者に、母の演説中に泣かせるというのは、いくら何でもやりすぎな演出だろう。

映画「黒い司法」といい、実話系社会派映画はテーマが重く重厚になりがちで、映画の「快楽」と両立させるのは難しいが、本作はそれを踏みとどまって両立させようとしてたと思う。
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