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リチャード・ジュエルのNAOKIのレビュー・感想・評価

リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)
3.9
けっこういろんなとこで…実話だからしょうがないけど…という断りつきでエンタメとして物足りない…という評を目にしました。
スカッとするようなカタルシスがない…と。

当然ですね…この映画はマスコミやFBIのくそっぷりをさんざん見せられるのに、やつらを皆殺しにしたりするわけではないですから(笑)…

でもね…そう思うのはこの映画は実話であり主役のリチャードと母親、彼を唯一信じる弁護士ワトソン(サム素晴らしい!)側の視点で観ているから言えることなのです。

メディア・リンチって恐ろしい!冤罪って恐ろしい!そんな映画かな?と思います。
しかし20年以上前のこの事件をなぜ90歳にもなるイーストウッドが「今」映画にしたのか?

もしおれやあなたが当時のアメリカ市民だとしたらどう思ったでしょうか?新聞やテレビを見て…
「こいつ…ヤバいやつやん!間違いないね」くらい思ったかも…
この事件がもし現在起こったら?
あなたは正義感に駆られて「拡散」のボタンをポチッと押すのではないですか?

ここでポール・ウォルター・ハウザーという配役が実に効いてきます。
彼のなんとも言えない「微妙さ」や「胡散臭さ」上手いです。彼の部屋からたくさん出てきた「趣味のもの」には思わず笑ってしまいました。
ネット住民は間違いなく彼を「有罪」だと見なすでしょう。

そう、先日日本でも起こった「人違い犯人ネットさらし」…

つまりこの映画の当時のFBIやメディアを通して現在の我々のことを描いているのです。
イーストウッドは当時よりさらに過激になっているメディア(ネットつまり我々)に警鐘を鳴らしているのです!

もしおれが無実の罪を着せられて部屋を調べられたら…
人殺しの映画だらけでおれは絶対「有罪」だぁ💦
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