静かなる告発映画。マルパソプロダクション最高。
クリント・イーストウッドを語るとき、必ず触れないといけないのは、インディーズであることだ。
自らの「マルパソプロダクション」によって制作をする。だが、恩義も忘れないから配給はいつもワーナーだ。
監督はアーティストとして独立しているから、権力を敵に回す表現もできる。興行のための妥協もしない。そこが凄い。
誘致したオリンピックを中止させないため、組織の対面・保全のため(容疑者をでっちあげる)というところに現在の日本にもつながる怖さがある。
何でもかんでもオリンピック優先。組織優先。
監督は冤罪の怖さと、国家権力に次ぐ第二の権力である「メディア」の怖さを描いた。
反対に主人公の潔白を主張したメディアの不在にも、インタビューではあるが言及している。
その精神がかっこいい。本当のインディーズ作家。
偉大な90歳だ。力まずに淡々と誇張を排しているのもかっこいい。
また、弁護士もFBIという連邦(国家)権力に、一歩も引かずひるまないところも、かっこいい。日本なら、「お上」「国家」にそこまで逆らううことはできない。