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リチャード・ジュエルのアァーーーーーーのレビュー・感想・評価

リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)
4.3
上映時間約2時間。
序盤は「運び屋」同様に詰め込みすぎで展開早すぎ、と感じたが、中盤から後半にかけてはじっくりと行く所はじーっくりと描いていて感情移入も出来、あっという間だった。

2019年作の割には画質はそこまで鮮麗された印象はなく、順を追って培ってきたイーストウッドらしい質感と、映画らしさ全開の直球どシンプルとも言っていい脚本と脚色と展開だし、イーストウッドが何度も描いてきた「アメリカでこういう事件あったけど詳しい真相とか当事者の心境とか結構放ったらかしにされてね?なんで誰も問題にしないの?」つーテーマも今まで通り。
しかし、特に昨今の日本ではオリンピックの中止からの黒川検事長定年延長で様々な憶測やリークが明るみになった際に「正義の象徴である検察官が不正を許すようになったら職務の意義が問われ今検察官を目指してる人々が落胆して誰もなりたいと思わなくなる」という誰かが言ってたコメントまんまの世界が映画で描かれていて「マジで世界狂ってんな」と憤慨しながらも、その緊張感が持続する内容にすっかり魅入ってた。

何よりも疑問が残ったし、何よりも描いて欲しかった「何故そこまでしてFBIはジュエルを犯人に仕立て上げたかったか?」で、
そこに対する説明が最後までなかった事と、映画全編において脚色がどこまでされたのか、いや、そもそも映画ってフィクションありきだよな、という視点と、
デブでオタクが正義の使者になってはいけないぞ、という無意識の心理差別が幾度となく映画中に訪れる主人公ジュエルのアップにも現れてる気がする。
それは誰しもが頭の中で想像する分かりやすいFBIの姿と、誰しもが頭の中で想像する典型的な新聞記者も同様。

自分の人生において今後まずそんな事は無いと思うが、自分に子供が産まれて、それが女の子だったら、新聞記者記者みてーなクソ職業につくとお前自身の性格が疑われるから絶対になるな、と口酸っぱく伝えるだろう。
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