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雨月物語のSIのレビュー・感想・評価

雨月物語(1953年製作の映画)
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2019.5.4
自宅TVにて鑑賞

溝口健二初鑑賞。
男のくだらなさと、翻弄される女の悲哀を描く。

戦に乗じて焼物で危険な商いをする貧農、源十郎(森雅之)。次第に源十郎は金に目が眩み、子供の源市と家族団欒を求める妻の宮木(田中絹代)と距離ができる。同じく貧農で義弟の藤兵衛は侍になりたく装備のための金を求めるが、妻の阿浜(水戸光子)はそれに呆れている。
落ち武者がうろつく混沌のなか、4人は焼き物を売りに出かける。宮木は途中で引き返すもその道中に落ち武者に殺される。阿浜は藤兵衛を探す途中で落ち武者に強姦され遊女になる。源十郎と藤兵衛は無事焼き物を売りさばくも、源十郎は高貴な女性、若狭(京マチ子)に出会い、不思議な様相の朽木邸にて求婚され居着く事となる。やがて老僧に幻術を解かれ、源十郎は死霊に誘惑されていたのだと知り家に帰る。藤兵衛は稼いだ金で侍になり、大将首を捕らえ鎧と馬と家来を受け取るが、凱旋の途中の宿で遊女となった阿浜に出会い自分も間違いを悟る。源十郎は家に帰り宮木との慎ましい暮らしを送るが、翌日それは幻覚で宮木は死んでいたことを知る。

女性の吟唱を音楽として船が湖を渡っていくシーン。霧のなかを進み霧に消えていく。とても美しい。

源十郎が老僧によって体に施された呪文。なんともおどろおどろしい。新しいイメージ。

源十郎が家に帰ってきて、宮木を探し家の中を歩きまわる源十郎に付けPANして左に映し、1周して戻ってくるのに合わせて右にPANすると今度は宮木が夕餉の準備をしているカット。素晴らしいシームレスな長回し。

個人的にはあまり刺さるところのない映画でした。
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