ルサチマ

雨月物語のルサチマのレビュー・感想・評価

雨月物語(1953年製作の映画)
4.7
3回目。

上田秋成は飯の描写を詳らかに美味そうに描くという点において別格の書き手であるが、その美味そうな飯というのは素材に加えて土着的な汚れが含まれていることが何よりも批評的であり、つまりは小説の美味そうな飯とは映画のカメラで写した時、たんなる不味そうな飯としてフィルムに定着してしまうことを意味する。しかしそれでも小説の美味そうな飯が映画の不味そうな飯として示した上で、観客が不味そうな飯を食う人の生き様に見惚れたとき、不味そうな飯は映画に輝きをもたらすはずだ。
溝口健二は飯をざらついた土着の世界に表出させ、そこに幻の生命の希望を見出している点においても偉大であることを認めざるを得ない。
ルサチマ

ルサチマ