マクガフィン

野球少女のマクガフィンのレビュー・感想・評価

野球少女(2019年製作の映画)
3.1
男女の区別をしない公平性を描きつつ、それでも女性がぶち当たる差別を丁寧に描くことは良いが、とても球速130kmが出る投球フォームに見えない華奢なヒロイン、分かりやすく数字化した球速主義の韓国野球界の背景、家庭(社会?)の不満を娘にぶつける毒母の扱いに疑問なことも。

同じ境遇を経験し挫折の辛さを知るコーチや、ヒロインの背中を追い求めた青年の配置、最近見た韓国映画では珍しくトーンが抑えめ(どちらかと言うと暗い)なことは良いが、ドラマ的なリアルさはあるが新鮮味が足りないような。

それでも確固たる決意が齎す周囲への波及効果。突き詰めた先にある〈社会通念〉や〈既成の枠〉の先入観や固定観念に風穴を開けこと。ヒロインの野球をする時の鋭い視線と、生活の中の様々な問題に葛藤している時のとぼけた顔から喚起することはシンプルに伝わった。