ケーティー

ブロードウェイと銃弾のケーティーのレビュー・感想・評価

ブロードウェイと銃弾(1994年製作の映画)
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思い出したのは三島由紀夫の金閣寺。
芸術至上主義をウィットに富んだ筆致で、乾いた描写の中で描く作品。


始めは、テンポのよい編集ながらも、そのどこか乾いた感じがコメディとして弾けきれていない印象をもったが、終盤になるにつれ、その意図がわかり、乾いたなかでのユーモア、そして、ビターテイストの作品をやりたかったんだなと納得した。

※以下、本作とそのミュージカル版の一部ネタバレあり。



ラストの切れ味こそ、この映画の魅力だろう。作品のために一人は生きると同時に、そこからもう一人は芸術の恐怖を感じ、本当に大切なものに気づく。
同じくウディ・アレンが脚本で、本作はミュージカル化されてるが、ミュージカル版は、エレンが実は浮気してなかったり、ラストにみんなでデヴイットたちを祝ったりと、ストーリーは同じだが、それゆえに、ラストだけ無理やりハッピーエンド風に変えたのに違和感があった。というのも、そもそも、シニカルなストーリーを想定して前半や中盤が進むのに、ラストだけミュージカル版は変えていたからである。