ウサミ

ブロードウェイと銃弾のウサミのレビュー・感想・評価

ブロードウェイと銃弾(1994年製作の映画)
3.9
アーティストとは?
自分の才能を認められたいっていうのは普遍的な感情だと思うんですけど、それを形にしたい、残しておきたいって言うことに心血を注げる「アーティスト」って、ホントにすごいなって思います。

この映画では、人々のエゴイズムに振り回される作家の姿を、少し滑稽な、アクの強いキャラクターによるコメディで描いています。
過剰なまでに自己中心的な登場人物たちが、「人は本質的に他人に興味ない」ということを感じさせます。それにより、作品がドンドン形を変えて行ってしまう。1人の作家が作り上げたものが万人を黙らす、なんていうのは神話のようなモンなのかな、と感じました。

作品が移り変わり、自分で生み出したものとはかけ離れていても、それが多くの評価を得たり。一体作家って何なんだ…?才能で生きようとする夢をもつ者へ、ある意味残酷なまでの真実を面白おかしく伝えて来ているのが興味深かったです。

また、これは僕の作品だ!と高らかに言う主人公に、「チーチ」というギャングの子分が横槍を入れていきます。そしてやがて、作品のアイデンティティは彼のもとへ行ってしまう。
自身の作品を完成させる、ということには相当な覚悟がいること、主人公にはそれが足りなかったことを浮き彫りにする良い展開でした。

結局のところ男女が仲直りのキスをして、みたいなオチに流れたのは少し不満。終盤のせいで少し全体的な良さがかすみ、退屈さも感じましたね。この辺は好みかな。

ウディアレン作品には疎いですが、彼の作家性を理解したいなと思える作品でした。
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