dita

マローナの素晴らしき旅/マロナの幻想的な物語りのditaのレビュー・感想・評価

4.0
@ 塚口サンサン劇場 

映像は楽しく展開は辛いマロナの人生(犬生)ものがたり。くるくると変化する造形に目を奪われる一方で、マロナのまっすぐな瞳が映し出されるたびに人間ちゃんとせえよという申し訳なさでいっぱいになった。


愛する人の夢のために自ら身を引き、後ろ髪引かれる別れのあとでその思い出を丸めて捨てたあいつを信じてついて行ったのに、あいつはあいつでがんじがらめの人生で、わたしはやっぱりここにはいられず、ようやく見つけた新たな家でもあたたかいのは籠の中だけ。

わたしは犬ではないので犬のほんとうの気持ちはわからないけれど、幼いこどもであったり誰かを愛した女であったり、重なる部分がたくさんあって、広い世界で生きているあなたたちに悪気はないのかもしれないけれど、狭い世界でもらった愛情を信じ続けているこちらの気持ちが伝わらないとわかった時の諦めと絶望がとても辛かった。

ちっぽけな幸せは一瞬じゃなくて積み重ねてこそなんだよ…と自らに言い聞かせて、帰って猫を目いっぱい抱いた。たくさん遊んだ。明日も一緒に生きようね。
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