MasaichiYaguchi

マローナの素晴らしき旅/マロナの幻想的な物語りのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

4.0
ハート型の鼻を持つミックス犬マロナの生涯を描く本作は、我々が抱くアニメーションの枠組みを取り払い、2Dと3D を融合させた表現は前衛アートのようで、我々はいつの間にかその世界観に誘われ、マロナと共に様々な街角や色々な人々と出会う旅に出ている気分になる。
主人公のマロナはアニメらしい造形なのだが、彼女が最初に出会う曲芸師マノールをはじめとして人々が変幻自在に表現されていて、そのファンタジックさにウットリしてしまう。
恐らくマロナから見た人々の印象を“視覚化”しているのだと思うが、その映像が感性を刺激して止まない。
このように映像は斬新だが、描かれている物語そのものは奇を衒ってはいない。
愛犬家や一度でも犬を飼ったことがある人なら本作で描かれたエピソードに対して大なり小なり経験したり、共感を覚えるのではないかと思う。
マロナは幸せを感じることは、同様に飼い主もそれを共有する筈だ。
エンドロールでパブロ・ピコによる主題歌「ハピネス」が流れるが、この曲で歌われていることこそが本作が言いたかったテーマだと思う。
「幸せは ほんのちっぽけなこと
 ひと皿のミルク
 昼寝
 骨をかくす場所
 そして、大切な人との時間ー」
本作を観た後は愛犬を抱き締めたくなるし、いない人はマロナみたいな犬を家族に加えたくなるような気がします。