dm10forever

猫、かえる Cat’s Homeのdm10foreverのレビュー・感想・評価

猫、かえる Cat’s Home(2019年製作の映画)
3.4
【猫好きの猫アレルギー】

これは江戸時代の諺(ことわざ)で「な~んか、うまいこといけへんな~」という意味の言葉です。
うそです。

実はうちの娘もまさにこれで、僕の実家で飼っている猫が好きなんだけど、近づくと目が真っ赤になって体が痒くなってしまうという可哀相なアレルギー。
因みにお父さんは「かわい子ちゃんアレルギー」です・・・それもうそ。

ということで、最近ネコにはまっているdmです。
暇な時はYoutubeの「ねこほうチャンネル」をひたすら見ている毎日。

で、何気なくアマプラで短編作品を探していたところでこのタイトルを発見。
ふ~ん、モトーラ世理奈って名前は知っていたけど、実際はどんな子かも殆ど知らず・・・。
でも、何となく不思議な魅力があるな~って感じの認知。

という流れでの鑑賞。

物語に出てくるのは1人の男と2人の女性、そして一匹のネコ(「イブちゃん」だけど♂)。
同棲していた彼氏(浩)と別れてちょっとしてから、ネコを引き取りに浩宅を訪れる元カノのリナ(モトーラ世理奈)が主人公・・・なのかな?一応。
で、そこに現れる今カノ・・・恐らく2人の昔からのトモダチっていう複雑なや~つ。

正直、ストーリーは・・・・普通。
良いとか悪いとかの評価も難しい類の「普通」。
ただ、映像は好き。
涼しげで瑞々しくて、カットなんかも「きっとモトーラさんをイメージしたカメラワークなんだろうな」って想像してしまうくらいに、印象的なカットもいくつかある。
(個人的には彼女の手が好き。何かを持ちながら写真を撮るシーンで彼女の手のアップが映るんだけど、すごく肌に透明感があってとても綺麗な手をしていた)。

で、ここに出て来る三人はみんなネコみたいな人たち。
ちょっとツンデレでマイペースな主人公。
「人に飼われたネコは、人がいなくなると生きていけなくなるんだ!」と泣き言ばかり言う元カレ。
2人の友達として近くにいたのに、いつの間にか彼女のものが欲しくなっちゃって(スルッと)奪ってしまった「泥棒ネコ」な友達。

まさに三者三様だけど、見方を変えればマイペースな三人(三匹)が心地よい距離感で作るコミュニティのような雰囲気でもある
だから「猫、かえる」っていうタイトルも、ネコがそれぞれの落ち着く居場所に帰っていくっていうだけの普通の事なんだろうな・・・って感じた。

結局は似たもの同士の「きょうの出来事」のようなお話。
(一応Filmarksのあらすじでは「~少女から大人へ変わってゆく主人公の、ある一日の物語」みたいに書いてるけど、人の心が成長するほどの何かがあったわけでもない)

とりたてて「殺してや~る~!」的なホラーな展開にもならないし、「お願い、アイツを殺して」みたいなギャング的な話にもならない。
裏で巨額なお金が動いたり、男と女が入れ替わって巨大な隕石が落ちてきたり、不沈船と呼ばれた豪華客船の処女航海に乗り合わせた二人が沈没事故に巻き込まれたりもしない。
いたって普通に始まり普通に終わるお話。

なんだけど、これはこれで嫌いではない。
この題材で、このスケールで、モトーラ世理奈の空気感を表現するなら、たぶんこれ以上の足し引きは必要なかったんだと思う。

決して人に勧めるような「完成度の高い作品」ではないけど、だからといって「悪い」わけでも「嫌い」なわけでもない。
いい意味で妥当な位置に落ち着いている作品だと思う。
dm10forever

dm10forever