Aya

夏時間のAyaのレビュー・感想・評価

夏時間(2019年製作の映画)
3.2
#twcn

評判を聞いていたのですが何がそこまで話題になるのかあんまりピンとこなかったです。

原題が남매의 여름밤 だから「姉弟の夏の夜」?でいいのかな?

特に夜だからどうのこうのって話ではないので日本のタイトルの方がミスリードないかな?と思います。
韓国版ビジュアルもガッツリと夕陽〜夜だし。

高校生の姉オクジュと小学生の弟ドンジュを連れ離婚をして仕事にも就いていない靴売りの父が実家に帰ってきた。

夏休みをいいことに子供たちとおじいちゃんが1人で暮らす日当たりのいい古いお家に居候。

そこに離婚寸前の叔母さんもやってきて、姉弟にとってはいつもと違う夏時間の始まり始まり。

家族のつながりの強い韓国では珍しくおじいちゃんに会うのは久しぶりの2人。

叔母さんと会うのもいつ以来だろう?というほど疎遠な「家族」がいきなり同じ家に住むという違和感に慣れるのはひと苦労。

おじいちゃんは体調が良くいらしく物静かで庭で血色のいい野菜を育てる優しくて仄かに死の匂いを放つ老人。

叔母さんは夫と上手くいっていないのか友人の家を点々としてきて、酒を飲んでは離婚に向けての思いを語る。

肝心のお父さんは商売を始めたいという意欲と資格をとって金になる仕事がしたいという家族のために働くおじさんだが、今無職ということは無能か要領が悪いのか。

しかもお母さんは出て行ってしまったようだ。
たまに姉弟に会いたいという母親に複雑な思いを抱えるオクジュ。
無邪気に喜ぶドンジュ。

オクジュには引っ越す前にボーイフレンドがいたようで、一重に悩み整形手術代を父に無心したり工面しようとしたり・・・。

2階の部屋に蚊帳(何あのキャノピーみたいなお洒落な蚊帳は?!)を張り、その中で眠るオクジュ。

裸足に短パンで南向きの窓から刺す陽の光の中、古いミシンをいじったりお父さんのアルバムを眺めたりボーッとしたり慣れないながらもゆったりとした夏時間を過ごすオクジュと、環境の変化に順応し愉快なダンスを披露してくれるドンジュ。

夜な夜な近所の商店で安ビールに炙ったスルメで愚痴を言い合ったり真剣に年老いた父のこれからを話し合ったり、今まで胸に秘めていた相手への理不尽な思いを吐露するお父さんと妹。

おじいちゃんのバースデーやおじいちゃんが育てた甘い葡萄。

その家は隅から隅まで紛れもなくおじいちゃんそのもので、なぜ今まで疎遠だったのか?

これはアレですね。

雰囲気を楽しんだり自身の幼い頃の経験に想いを馳せたり、見る人によって感じ方が変わる映画なんでしょうね。

みんなで食卓を囲むシーンや簡単おかずの調理シーンが多く素朴な韓国の家庭料理がこの映画に彩りを添えています。
なぜかいつもククスばっかり出されて冷麺は食べれないことにオクジュはご不満な様子w

まだ動く自転車やミシン。
豪華な洋服箪笥。
使い勝手の悪い洗面所。
結婚写真。

すべておじいちゃんのもの。
今まで知らなかったおじいちゃんを知る夏時間をこの姉弟は有意義に過ごせたね。

これからどうなるにしろこのひと夏を忘れずにいてほしいな、と思いました。

思ってたより気温の高いGWの初日に久しぶりに出かけた映画館。

100分くらいしかないのに調子に乗ってアイスカフェオレを飲んでいたからかめちゃくちゃお手洗い我慢してた・・・。

今、大変な京都のミニシアター。

お客さんがとてもたくさん入っていましたが、商店街の多くの道ゆく人が「コレ映画館??」と足を止めていたのが印象的。

1階のカフェも大変だそうで、イラスト入りのユニークなパーテーションが立てられていました。
お持ち帰ったカツサンドいつも通り美味しく戴きました★


日本語字幕:三重幾 聖愛
Aya

Aya