てつこてつ

夏時間のてつこてつのレビュー・感想・評価

夏時間(2019年製作の映画)
3.5
ハリウッド顔負けのエンタテイメント作品か、徹底したアート系をひた走る作風の路線にハッキリと分かれる昨今の韓国映画には珍しい、80年代の台湾映画を彷彿とさせるような、誠にみずみずしい印象が残る佳作。

思春期真っ只中の姉と小学生の弟が祖父の家で過ごす夏休み・・。韓国のどこにでもあるような郊外の町の風景、暖かみを感じさせる韓国の昔ながらの家でちゃぶ台を家族皆で囲む姿など、日本の昭和の時代に少年時代を過ごした自分自身の夏を思い起こすようで、どこか懐かしい。

特に起承転結があるストーリーではないが、自分たちを捨てて立ち去った母親に抱く少女の複雑な心情、淡い恋心などの描き方が見事。子役二人の演技が素直で実に素晴らしい。

父親、祖父、叔母を演じた地味ながらも印象に残る演技を見せる俳優さんたちの存在感も、またいい。
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