のんchan

はなれ瞽女おりんののんchanのレビュー・感想・評価

はなれ瞽女おりん(1977年製作の映画)
4.0
先月劇場公開した『瞽女GOZE』(新潟出身の瞽女小林ハルさんの実話)を観て、あまりにも感動し、自分なりに熱を込めたレビューを書いたが....この作品と観比べたかった。

だが、全く比べるものではなかった😔
こちらは水上勉原作であり、実話ではない。あくまで架空の瞽女(盲目の女旅芸人)の話だったから。
小説を脚色したザ・映画🎥だった。

篠田正浩×岩下志麻で魅せた傑作。
日本を代表する映画カメラマン宮川一夫による映像は風景、人物、情緒までを映し込んで素晴らしかった。

岩下志麻は精魂込めた演技だろう、歌も三味線もこなしていた。そしてどの角度から映してもやはり溜め息の出る美しさ✨(上半身脱いでます)は誰しもが見惚れる。だが瞽女なのに、髪も整い、綺麗過ぎやしないか?やはり映画だよね?とか演技は上手いの?とかそれ程に興味が無い私は声が好きじゃないのかも?

相手役の原田芳雄の色気が相応しくてドキドキする。何ともカッコよくて素敵✨
熱いけど暑苦しくなくて、男臭いけどどこか清潔感もあった。今の30半ばの俳優とは比じゃない存在感が漲っていた。

この作品には錚々たる脇役が固めている。
奈良岡朋子(『瞽女GOZE』の語り部でも出演)加藤嘉、殿山泰司、西田敏行、安部徹、小林薫(当時20代半ば)

そして、後半に登場する樹木希林🌟
岩下志麻より2歳年下にも関わらず、当時から捨て身の脇役が板に付き、瞽女役もあまりに自然過ぎる(左目が実際に斜視)
登場した瞬間から空気がガラッと変わった。岩下志麻が掠れるほどだった。出演時間にしたら10分程度だったかも知れない。
でも私は樹木希林と思い掛けずに出逢えて最高だった🙌

水上勉小説なので、男と女、色気、妖しさが必至💫
瞽女には男に抱かれてはならぬという掟があった。その掟に背くと庇護から外される。掟に背き離れ瞽女となった おりん の独り身の切なさ。男たちに引かれるままに旅を続けそして捨てられ、一人寝の怖さと寒さに「どなたでもいい抱いておくれ」と懇願し、そんな身の上を旅の途中で出会った男に問わず語りに話す。
「お前とずっと一緒に旅を続けたいから、お前を抱けば他の男たちと同じようにいつか終ってしまう。だからお前を抱けん」と、おりんに指一本触れようとしない男との旅...

私の思い描いていた内容と違ったものの、古き善き伝統映画を見られて貴重な時間だった。
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