やわらか

はなれ瞽女おりんのやわらかのレビュー・感想・評価

はなれ瞽女おりん(1977年製作の映画)
3.8
新文芸坐「表現社50周年記念 映画監督篠田正浩と女優岩下志麻の映画人生をたどる」特集で鑑賞。
 
瞽女とは、主に北陸地方において三味線を弾き唄を歌って各地を回った盲目の女性旅芸人。瞽女という存在を知らなかったので、その背景を学びつつストーリーを追って行くような感じ。昭和初期から戦中に掛けての北陸が舞台になっている。
 
この映画の頃の瞽女については、ごく最近までご存命だった最後の瞽女とも言える小林ハルさんのWikipedia記事を読むと理解が進むと思う。
 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%9E%97%E3%83%8F%E3%83%AB
 
他の多くの旅芸人と同様に差別の対象となり、性的なものも含む搾取を受ける存在だった。
 
水上勉の原作や映画では、この瞽女という存在を通じて運命の前に抗うことのできない人間の悲劇を表現したかったんだと思う。完全に昭和の映像なのだけれど、観ている感覚としてはギリシャ悲劇のようだったな。
 
上映後に篠田正浩監督と岩下志麻さんのトークショーがあった。その中ではこの映画には直接言及なかったけど、篠田監督の啓蒙的な発言を聞くと、そういうスタンスが映画にも反映されているなと思ったり。
 
トークショーのために超満員で、最前列の端という最悪のロケーションだったけど、若々しい岩下さんの姿と武満徹さんの音楽、昭和の北陸の景色と、今見ても見所があって楽しめる映画だった。
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