オールナイトで観た3本のなかでは一番物語的で面白かった。映像も美しすぎる。
冒頭の墓への道のショットや、リスボンに降り立ったヴィタリナ(漏らしている)と空港のショットなど異様にかっこいい。
カット割りが細かくなり、時系列も直線的なのでかなり見やすくなった印象を持った。
亡き夫の家に来たヴィタリナだが、ヴェントゥーラ演じる神父と対話にならない対話をするシーンでの「男は男にしか寄り添わない」というセリフが象徴的で、男たちが、特に役に立つでもなくヴィタリナの周りを謎にウロウロしている。
その後とにかく苦労するヴィタリナは、神父や男たちをついには従え、墓を移したり屋根を直したりすることで、再生へと向かっていく。
ラストの回想のような若き夫婦のカットがまあ美しく、回想でありながら未来を感じて感動した。
ヴィタリナの存在感にあふれた演技、コントラストの強い映像の光と影、黒人の肌を険しく美しく撮る技術など映像的な魅力にあふれた映画であると同時に、実感なく夫を失った妻の実感と再生の物語というストーリーもいいものだった。