むぎたそ

羊飼いと風船のむぎたそのレビュー・感想・評価

羊飼いと風船(2019年製作の映画)
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監督の前々作「タルロ」を東京フィルメックス(映画祭)で観てめっちゃ面白かった記憶があり(しかし劇場未公開)、え、今作で初めて公開してくれるの?やったー、となり。

本国では著名な小説家でもある監督らしく、繊細な心の揺れ動きの描き方、ストーリー構成、モチーフ選びがとてもいい。

フランス映画の「赤い風船」オマージュと、チベットの近代化と風習と信仰とを結びつけるアイデアがオリジナリティある!(風船とコンドームからはじまるいろいろ)

同じ仏教国でも、日本とは信仰のかたちが全然違う。転生の概念、興味深かった。ダイレクトにメイン人物の葛藤と対立につなげてくるのがうまいわ。

画のつくりかたもいいし、自然な暮らしの演出もいいし、ユーモアあるし、前時代的なムラ社会文化と中国の一人っ子政策というダブルパンチに翻弄される女性のしんどさという社会的な問題のとりあげかたもいい。(「女性のしんどさ」には普遍的な共感がある。)やっぱりこの監督いいなあ〜。他の過去作も観たいな。


緑の草原と赤い風船のコントラストはとてもいいけど、ラストの、みんなが風船を見てる、みたいなカットの切り替わってくところの演出だけ、ちょっとクサかったかな。。風船が空に飛んでくとこで、バツンと切って、エンドロールに入ってくれたらよかったかも。。
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