とあるパチーノ

春江水暖~しゅんこうすいだんのとあるパチーノのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

三世代に渡る一族の絆の揺れ動きを、
街のシンボル‘’富春江’’の流れに重ねつつ、
四季折々の自然で時の流れを写すとともに、
流れるようなカメラワークで筆が流れるように描かれた映画。

観てる最中は東京物語を観た時と同じく、
両親や親戚の事が頭をぐるぐると駆け巡り、
観終わると何か川の上でぷかぷか浮かんでいるようなゆったりとした余韻が心に残った。

時代の変遷に飲み込まれる人、逆にそれを上手く利用してお金儲けする人、または必死にあらがって生きる市井の様々な人々の生活を、
これまた街のシンボル‘’富春江’’における様々な営みでもって表現していた。

沈みそうな釣船での水上生活をしながら大きな船にぶつけられて川に沈んで行ったといわれる人、
その生活を続ける人、
その生活から抜け出す人、
河で水遊びをする人、
河の流れに逆らって泳ぐ孫娘の彼氏など。

一度離れてくっつく一族の人間関係や、新しい時代で築かれる家族の価値観が、
古い建物が壊されて新たに生まれ変わっていく街並みに重なる。

正月を爆竹で祝ったり、川に魚を放して祖母の帰還を願うなど、
変わらずに受け継がれる文化や風習がそこにはあり、
激動の流れの中でスタイルは変わっても絆は繋がる家族の物語。

祖母は最期に、
大海原に向かって雄大に流れる定めの‘’富春江’’に身を委ねる事を選んだ(で合ってたかどうかは記憶が曖昧ですみません)。

願わくば流れるような筆致でこの感想を書きたかったけども、
映画とは違ってただの長文に終わる。