まちゃん

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編のまちゃんのレビュー・感想・評価

4.3
上弦の参・猗窩座 に鬼になれと誘われた時に炎柱・煉獄杏寿郎は断る。圧倒的な力を持つ不老不死の鬼。非力で命に限りのある人間。生物としての能力の差は明らかだ。しかし煉獄は決して鬼への道を選ばなかった。その理由は竈門炭治郎を見ればよくわかる。夢限列車の鬼・魘夢は人を眠らせる血鬼術を使う。夢の中に浸っている間に精神の核を破壊して廃人にしてしまうのだ。炭治郎の見る夢は現実では失った愛情深い家族との穏やかな生活。それが血鬼術だと知った時に炭治郎には幸せな夢に浸り続ける道もあった。しかし炭治郎は人々を守る為に過酷な現実に立ち向かい戦う道を選ぶ。この葛藤と決断、覚悟には胸を打たれる。単独では生きられない弱い生物だからこそ他者を思いやり、命に限りがあるからこそ今現在に精一杯命を燃焼する。ここに人間の真の強さがあるのではないか。そして煉獄自身も猗窩座との戦いでこの通りの姿を見せる。至高の強者同士の死闘は凄まじいスピード感で大迫力だ。希望を信じて責務を全うする煉獄の生き方。哀しみと己の弱さに打ちひしがれながらもお互いに支え合い立ち上がろうとする3人の少年。煉獄の信じた人間の美しさがそこにあった。
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