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ラーヤと龍の王国のコマミーのレビュー・感想・評価

ラーヤと龍の王国(2020年製作の映画)
3.9
【信じて】


※さて、劇場で観たい組が待ちに待った、劇場公開のディズニー映画が帰ってきました。この「ラーヤと龍の王国」から、劇場での再スタートを切ります。そして肝心の中身は、私の中では一番心に残ってた内容になってました。




人を"信じる"……。

それは簡単そうで、人にとっては一番難しい事なのかもしれない。

仲間に裏切られたり、誰かを殺されたりすれば尚更だ。


だが信じれば、無限の可能性が待っている事も……。


この作品は、同時上映の「あの頃をもう一度」同様、"水の描き方"がとても美しい作品になっていた。そして人の"善悪"の描き方も、不思議と美しい作品になっていたのだ。
"シスー"が水の中に入り、出るシーン隅々まで水の描き方がとても綺麗なのだ。手書きアニメーション時代では出来なかった"可能性"が、本作ではちゃんと実っているのだ。背景の描き方も、実際の風景のように遠くを見据える様に描かれてる。とても繊細で鮮やかな色合いに仕上がっていた。
そして今回の人の善悪の描き方……、これには圧倒された。今回は「信じる事」をテーマに描き、世界は5つの国に分断されている。それぞれが固有の魅力を持ち、同時に欠点も持っている。"固有の悪の姿"だ。
だが、手書きアニメーションの時は、悪の姿になった理由が詳しく描かれてなかった。[善は善]、[悪は悪]と描き、"その先"を描けていなかったのだ。だがこの作品は、ちゃんとその先を描いており、非常に"気持ちが良いラスト"が待っていた。だが、だからこそ、終盤の"あるシーン"には衝撃を受けた。そこは本編を見てもらいたい。

だが、残念な所もある。キャラクターだ。私の力不足なのかもしれないが、どうしてもラーヤ以外のキャラクターには惹かれないのだ。魅力がいまいち足りないと言うか、そこまで印象に残るキャラクターが本作にはいない。
まぁでも、そこまで気にするほどでもないので別に良いのだが……。


ピクサーの「2分の1の魔法」から"約8ヶ月ぶり"に日本の劇場に戻ってきたディズニー作品。
この「ラーヤと龍の王国」は、間違いなくディズニーの再スタートとして公開され、劇場・配信と言う2つの形で観客を取り戻す事になる。これからこの公開形態が続くだろうが、それでもディズニー作品がこれからは劇場で観れる事が多くなると思うと、嬉しくて涙が止まらない。

本作の劇場公開にも涙し、ラストにも涙する。

約8ヶ月間、信じて待った甲斐があった作品だと言えます。
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