バリカタ

ジャッリカットゥ 牛の怒りのバリカタのレビュー・感想・評価

3.5
予告編の煽りで観たい気持ちマンマン鑑賞です。イメージフォーラムさん大盛況でした。
なかなかのエンタメ作品でした。リズム音楽と細かいカット切り替えではじまるオープニングがインド映画っぽくない(って言えるほど観ていませんが・・・)雰囲気で期待が膨らみます。

話はひたすらシンプルなんですよね。逃した水牛をみんなで追うだけなんで。ですが、監督が描きたいのは、追うほどに大きくなり、明らかになる人間の「欲」や「卑しさ」そして「獣=欲にまみれた人間」なのではないかな?って思いました。本作は追いかけっこの醍醐味あります。予告編通りに後半は徒歩版マッドマックスみたいです。怒りのウォーターバッファロード。しかし、間違ってはいけません。追いかける話であって、チェイスはないです。

スピードはないですが、工夫が随所にあるんで、観てて飽きません。ヒヤヒヤするスリルはないですけどね。セットらしいセットがなく自然を舞台にしてるのに。見せ方うまいなー。あとは、人間の血走り感がへんな迫力です。気色悪いくらい。なんでしょ?人間の集合体が「欲」っ名前の生き物にすら見えてきます。あさましく、滑稽。
こんな姿を神様はなげいてんじゃない?って、客観的な視点で見せてくれている気がします。

ヒンドゥー教では、牛は神が乗っている生き物で、神聖な生き物だそうですね。本作はインドでもどうやらヒンドゥーの地域ではないみたいですが。そのあたりも上手く関連づけている気がします。まさに人間の愚かさに神が呆れ顔みたいな。

ストーリーの面白みは高くはないと思います、場合によっては退屈と感じる方も多いのでは?と思いますが、僕には興味深い作品でした。良作。

個人的にはクッタッチャンが好き。あの部下達のコールがしばらくリフレインしてました。