せびたん

Share the Painのせびたんのレビュー・感想・評価

Share the Pain(2019年製作の映画)
3.0
MVの監督をやっておられる方の短編映画みたいです。私は年齢的にも趣向的にもこの映画がターゲットにしてるっぽい鑑賞者ではないようで、わりと醒めた感じで見終わりました。見てしまってゴメン加点あり。なのにレビュー書いてゴメン加点もあり。たぶん的外れなレビューになるんだろうな。でも書いちゃお。

特殊な設定下の物語なのに日常感覚をブレさせずに見れるよう作ってあるのは親切設計なのかな。星新一(ふるっ)のショートショートや子供向けの漫画や小説を連想しました。カットワークや音の入れ方に石井聰亙監督の影響?引用?を感じましたが、よく消化して自分のものにされてるなあって思いました。先達のいいところをパクって自分の武器にするのはよいことかと。

映画のように鑑賞者が座席なりモニターの前なりに一定時間拘束され、映像と音と物語に晒されて続けるというジャンルにおいて、作り手側の主張もなく、さらっと男女差についてほのめかされる?提起される?だけというのはある意味斬新かも。中学校とか高校とかで教材として利用される映像みたい。大人げなく本音を書くと、なんか映画じゃないみたいだった。あでも役者さん達はみんなすごかったな。

映画って先に書いたような鑑賞条件ゆえ、何か強烈なビジュアルとか音とか思念?思想?考え?みたいなものが圧倒してくるはず!と身構えたりワクワクしたりしてる部分があるので、こういうテーマをノンポリっぽい軽いノリで提起されると斬新だなと思うものの、うっかり食いついたら個別に呼ばれて恐るべき本物の反社会的な思想とか左や右に傾きがちな思考の嵐に襲われそうな、そういう何かの罠だとしか私には思えないので、やっぱ好きにはなれないです。あ、でも最後の10分はよかったです。

シネスコサイズ?劇場サイズ?の画面でユーネクで見れたのは嬉しかった。だいたいいい感じの構図だったけど、物が妙に中央に寄った構図(主人公家族の食事のシーン)が気持ち悪くて吐きそうだった。食卓がこんなに醜く見えるシーンはなかなかないなと思いました。狙ってたのならすごい。醜いものを食ってる人達なんだ、そういう前提で物語を解釈しなきゃなんだってなるので。

けどなんかそもそも視線を中央に集めてる意識がなかったような気が。結果的に視線が向かう食卓上に記号的に置かれただけの食べ物たちがとても醜く見えたような。そうでもないような。個人的に食べ物が醜い映画はアカンと思う。腐ってる食べ物さえ美しく撮る映画があるというのに!笑
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