MasaichiYaguchi

Share the PainのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

Share the Pain(2019年製作の映画)
3.5
ュージックビデオやCMを手がけてきた映像ディレクター・中嶋駿介さんの劇場映画監督デビュー作は、監督が中学生時代に同性と交わった経験から生み出された作品で、セクハラや性暴力に対してSF仕立てで問題提起しているように感じる。
全ての男子が初めてのセックスの前に「性交人」と呼ばれる成人男性とセックスをしなければならないという法律「SP法第一条」が当たり前のように存在する、もう一つの日本。
性交人と交わりたくない主人公の少年ユウキは、思いを寄せる彼女のアヤカがプレイボーイのヤマダ先輩に狙われていることを知って焦り、決断を迫られてしまう。
監督が本作を撮るにあたった動機を自身のnoteに以下に記している。

「挿入する側の男も掘られて、あの痛みを伴う被挿入側のリスクや、絶対に抗えない恐怖心を知れば、相手の気持ちがわかってパートナーに優しくするのでは?」

確かに言われてみれば当たり前のことだが、いざことに当たって恋人やパートナーに対し、こういう気配りの出来る優しい人はどれぐらいいるのだろうと思ってしまう。
正に「我が身をつねって人の痛さを知れ」ということなのだが、コロナ禍で自分のことで精一杯な人が多い世の中、セックスだけでなく、他者を思い遣れる社会になれば、こんな状況下でも乗り切れそうな気がする。