真魚八重子

戦争と女の顔の真魚八重子のレビュー・感想・評価

戦争と女の顔(2019年製作の映画)
3.0
息苦しいほど鮮やかな緑と赤の補色の使い方。二人の相反する女性それぞれを表し、緑の女性はおとなしく、赤の女性は激情的。

『戦争は女の顔をしていない』を基にした、ロシアで従軍した女性兵士のPTSDを扱っている。緑ののっぽの女性は、戦場で強い脳震盪を起こした後遺症がある。一人で幼い少年を育てつつ、いまは陸軍の病院で働いている。
そこに、髪も情熱的な赤さを持った昔なじみの女友達が戻ってくる。腹には砲弾の破片の跡。だが、二人が再会したときには恐ろしい悲劇が起こっている。

友情と贖罪という、相反する気持ちがある関係性。しかし戦争によって取り残された女性二人の、シスターフッドの物語がメインだ。友情や怒りや愛が非常に複雑にのたくっていて、心の動きがうまいと思った。
真魚八重子

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