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戦争と女の顔のらのレビュー・感想・評価

戦争と女の顔(2019年製作の映画)
3.7
緑と赤の対比に彩られた絵画のような画面が美しい。ヘビーな物語だが、原案になったノンフィクション『戦争は女の顔をしていない』の内容を知ると、本作の脚本が極めて誠実に書かれているということがよく分かる。クィアの愛憎劇になっているのも良いし自然だ。

近年、戦争の戦闘描写そのものの悲惨さではなく「戦争が人々に何を残すか」に焦点を当てた作品を目にすることが多くなった。普遍的なメンタルヘルスの問題と接続しやすいという理由もあるだろうが、これこそが現在の社会情勢における人々のリアルな感覚であるのかもしれない。それから、世界が溜め続けてきた膿が今になって一気に表出してきたということもできる。
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