のすけ

戦争と女の顔ののすけのレビュー・感想・評価

戦争と女の顔(2019年製作の映画)
3.3
戦争を違った視点で描いた作品。
元兵士の女性二人の戦争後の人生を描く。
冒頭から画の美しさが際立っていて、まるで絵画のようだった。
作品の中で印象的に使われる緑色もいい。

「全部戦争が悪い」。戦争が無ければ‥
同じ地球人同士、何を争う必要があるのだろうか。
戦闘シーンを一切排除した作品だからこそ、戦争の重さが伝わってくる。

他のユーザーの感想・評価

色々と考えさせられた映画。今のウクライナ紛争がタイムリーにもなり言葉が出ない。
女性であること。兵士であったこと。女性兵士であったこと。そして、女性であったこと。
印象的な色彩を放つ綺麗な緑のドレスを着て、くるくる回る。すると裾がふわっと広がり、心が弾み、軽やかな気持ちになっていく。それが嬉しくて、楽しくて何度も何度も回る。けれど、その裾の広がりが浮き彫りにするのは女であること、そしてもう女ではなくなったこと。

ノーベル賞作家、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの『戦争は女の顔をしていない』が原作となっている本作。『戦争と女の顔』という邦題が良い。よくぞ「と」にしてくれた。

イーヤに託したはずの子供を失った上に、もう子供を産むことはできず、イーヤに「私の子供を産んで」と迫るマーシャ。自身のPTSDが原因となり、マーシャの子供を死なせてしまい、妊娠を迫るマーシャの思いに答え、彼女の主人になろうとするイーヤ。この二人の歪で互いが絡みつき合うような液状的な関係性だったものが、物語が進むにつれ輪郭線が浮かび上がっていき、戦時下・戦後の女性の諸側面を見事に映し出していく。素晴らしい作品でした。

周囲の人々はもちろんのこと、彼女たち自身ですら、自分を回復に向かわせる一歩を探ってすらいない。戦地でのトラウマを表す言葉なんてまだなかった時代では、彼女たちは治療の対象ですらない。
fleur

fleurの感想・評価

4.7
緑と赤の配色がとても綺麗。台詞が少ないので美しい映像を堪能できた。
物語はとても暗くて悲しい内容。
もう一度見たい。
Rebel

Rebelの感想・評価

1.7
観るだけ時間の無駄。

まずセリフとセリフの間延びがあまりにも長くて、ジリジリしてしまい、まったくストーリーが入ってこない。

これなら日本の漫画版の『戦争は女の顔をしていない』の方がよっぽど分かりやすく、テンポがよい。

2023.32
 あらすじを読むと戦時中におけるシスターフッド映画かと思ったけど、女性間の分断が強調されている。

 イーヤがのっぽでマーシャと目線が合わないことや、マーシャが終盤にサーシャの家族と食事をする際にサーシャの母親の対面に座ることで、構図でそれを示している。

 兵士として国や社会のシステムに組み込まれていたマーシャは、自身とイーヤを結婚や出産という社会的役割の中に押し込めようとする。

 どちらもその役割を果たすことはできなかったが、同時にその時に初めてイーヤとマーシャの間に絆が生まれる様を、二人の着てる赤と緑の服の入れ替わりで表現する。

 ほとんど手持ちカメラで撮られたドキュメンタリックなタッチでありながら、抽象的な要素が有機的に結びついてる秀作。
むんむ

むんむの感想・評価

5.0
女性視点の戦争映画。
暗くて重くて悲しい、傷だらけの心理描写が痛い。
それでいて絵画のように美しい色彩の画に惹き込まれる。
“戦後”というけど戦争に終わりはなく、苦しみは死ぬまで続く。
独特なリアリティ。先が読めないサスペンスもある。背景には第二次大戦状況下でのソビエトの暗い環境もある。オチもそうなの⁈という流れでもあった。

緊迫した映像と緻密なシナリオ。じっくり鑑賞したい作品。
mA

mAの感想・評価

3.9
よかった
戦争など何も良いことはないと言い聞かされる130分。
この監督は今何を思うんだろう、、
レニングラードものはとても興味があった(今作にレニングラードの直接な飢えの感じは薄いが)

これはあまり見た事がないタイプのロシア映画
元女兵士というのもあまり聞かなかったが実際に多かったよう
重い題材だが映像は綺麗で明るい雰囲気が漂っていた
でも余りに生と死が身近に描いてる
コレを見た後に史実を調べたらまた見え方がかわるだろう
あんまり見たことがないタイプのロシア映画。
とにかく脚本が緻密でリアリティがゴイスー。
重苦しい空気感がしんどいけど展開が読めなくて引き込まれる。
戦争の後の女性の苦しみと生活、なんとも興味深い映画でした。
「戦争と女の顔」の感想・評価を全て見る

のすけさんが書いた他の作品のレビュー

ノーセインツ 報復の果て(2022年製作の映画)

3.2

ポール・シュレイダー脚本作。
最終的にそんなに面白くないのだが、キャストの演技が良く、作中の全体的な空気感やカットも良かった。

ディセント2(2009年製作の映画)

3.4

再鑑賞。
1のラストから続いている2。
「助かったサラまた洞窟行くんかい!」「洞窟内で手錠って‥」等ツッコミどころはあるが、及第点に仕上がっている。
1ほどの緊迫感はないが、クリーチャーは結構容赦なく
>>続きを読む

イベント・ホライゾン(1997年製作の映画)

3.4

宇宙船パニックもの。結構好きたった。
終始不穏な感じと若干のゴア。
テンポよく観れた。
ツッコミどころはあるが頑張っている。
『バイオハザード』の監督なんですね。

インシディアス 第2章(2013年製作の映画)

3.2

1 に続き無難に楽しめました。
まあうまく作ったなという印象。途中から壮大になりすぎて現実味ダウンしてしまったのが残念。
でもそれが好きな人もいるだろうから好みの問題かも。

ドーン・オブ・ザ・デッド(2004年製作の映画)

3.9

再鑑賞。
相当久々に観たがやっぱおもろい。そして結構覚えてた。ダッシュゾンビ迫力あるね。
一人一人のキャラも立ってるしテンポも良い。モールが舞台だったり、屋上同士のやり取りだったり何かと面白い。
ゾン
>>続きを読む

ソウ(2004年製作の映画)

4.0

再鑑賞。
十数年ぶりか‥いや〜やっぱ優秀な脚本。
最後のオチがやばかったのは覚えていたのだが、どんなオチだったか思い出せず。
結局最後の最後まで思い出せずリアルに最後びっくりした!ニョキッと‥マジか〜
>>続きを読む