AyuAyu15

だってしょうがないじゃないのAyuAyu15のネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

仮設の映画館で視聴。

ウチの娘も広汎性発達障害で、そろそろアラサー。私もそろそろアラ6。他人事じゃないので観てみた。

親が何もかも知ってるとは思ってはいないけど、でもやっぱり生まれた時から一緒に暮らしていれば思い過ごしや思い込みみたいなことがあっても、まぁ、イキナリ外部の人(血が繋がっていようがいまいが)が来ても『本人』がどんなパーソナリティを持ってるのかニワカには分からないだろうから、元気なウチに本人の意志意思を汲み取って親なきあとどんな場所でどんな風に生きて行くのか方向性を本人と一緒に決めて未来に繋いでおかなければなぁとつくづく思った。

この映画のまことさんのお父さんもお母さんもまことさんの事を周りの人に繋いで置かないウチに亡くなってしまったからまことさんはまぁ困った。
ちょっと遠い親戚に成年後見人を務めてくれる叔母さんがいてくれたけど、障害というものについてはドシロウトだからかまことさんのことについて詳しくは理解していないみたい。

世代が違うのはもちろん大きい。まことさんの頃には『発達障害』なんて言う言葉はなかったから。
多分お母さんは『変わった子』を世間から庇うようになるべく外と関わらないで家の中で育てて(暮らして)来たのだろうな。
まことさんが真っ直ぐ育っているのを見るときっと愛情深く育ててもらったんだろう。

坪田監督も自分もADHDだからか映画を撮るからか(両方か)自分の伯父的血の繋がりのあるまことさんのことをとても気にかけているのはとてもいいけれど、いかんせんまだ障害のある人については彼もやはりドシロウトだからか良かれと思ってやったこともなかなか思い通りにまことさんに響かないこともあるみたい。

例えば意思決定支援という大切な言葉があるけど。
周りの人が『こうすればまことさんは幸せだろう、幸せになるだろう』とか、『こうしたら支援する側は楽だろう』とかそういう決め付け動いていて、肝心のまことさんの気持ちがお座なりになっている。
意思決定支援がお座なりにされている。

例えば、実家に独りで住み続けることは本当に無理だったのか?何が方法はなかったのか?とか、グループホーム、と決める前に、他に選択肢はなかったのか、とか。
「お姉さんが決めたんだから逆らえない、仕方ない」とまことさんに言わせる前に、どんなグループホームがあって(グループホームにも色んなタイプがあるから)どんなところならまことさんも楽しく幸せに暮らせそうかとか、そういうのを具体的に探したり一緒に見学に行って考えたり、そういう大切なことがない。まだまだ手を尽くされてない。

仕方ないからとか無理矢理に、とかじゃなくて、如何に本人に納得してもらって、本人にも乗り気になってもらって、出来るだけ本人に選んでもらって道を進むか。そこが大切なのに。

ひとつだけやっと見学に行った福祉作業所
アートで有名なStudio COOCAも、周りがそこはいいとこだって勝手に決めて見に行っただけで、有名で評判がよくカッコいいとこなら(世間体がいい施設なら)いいかと言ったらやっぱり本人に合わなきゃどうしようもない。
そこは坪田監督もようく分かったみたいだけど、親がそういう事をもし試していたとしたら親が死んだあと別の人がまた同じことを繰り返すのは時間と手間のロスだし。

私は自分がやって上手く行ったこと、失敗したことは元気なウチにキチンと外に繋いでおきたいなとつくづく思った。

本人が何が得意で何が苦手で何が好きで嫌いで何をしてる時が幸せで…とか、そういうのの申し送りってすごく大切だし、一番周りが知ってなきゃいけないことだ。

あと、エロ本のこととか理解ある俺の実家のオヤジに会わしてやる、とか。
ああいうのはその時だけはいいけど、エロ本をいいよと言ってもその先にリアルの女の子と付き合うことが絶望的な場合その彼の気持ちをどう汲むのか…?
とか、遊びに行った時には、嗚呼こんな家に住んでステキな服を来て裸婦像なんか描いてハイソサエティで、エロ本にも理解あって幸せそうな素晴らしい家だなぁ〜とその時思っても、実際にはそこに持続して住めるわけでもないし、持続して支援してくれるわけじゃないし、むしろ理解されない孤独な場所に帰って行くしかない時の疎外されたような彼の気持ちを思い遣ったことはないのか…?

口には出さなくても色んなことをけっこう分かってるものだったりするから。

無責任な慰め方には疑問が残るし違和感あったなぁ。
よかれと思ってやっているんだろうけどむしろ傷つけてるような気がして…
難しいねぇ。

多分私みたいな自分が今必死で広汎性発達障害の我が子をサポートしてます!みたいな人には今ひとつだったんじゃないかと。人にもよると思うけど。

でもあまり身近にこういう人がいないなら色々と発見もあっただろうしよかったんじゃないかな。

ラストの風呂場のシーンとか、彼のリアルな『生』が生々しく描けていてなかなかよかったです。

かけがえのない、まことさん。

坪田監督の愛情(友情)がこれからだんだんと実を結びますように。
いつまでも仲良くね😊🍀
AyuAyu15

AyuAyu15