茜

ディアスキン 鹿革の殺人鬼の茜のレビュー・感想・評価

3.5
笑っちゃうくらい淡々と人を殺していく姿がすっごいシュール。
とにかくこの男からほとばしる「鹿革ジャケットへの愛情」が強烈。

なかなか今時巡り合えなさそうなフリンジの付いた鹿革ジャケットへの熱い想い。
バーでお喋りしている女性達に「俺のジャケットの話してるの?」って話しかけるシーンなんて、観てるこっちが恥ずかしい。
でも男の鹿革ジャケットに対する愛は紛れもなく本物で、遂にジャケットと会話が出来るようになり、深い会話を交わしつつ中を深めていくという展開に口がぽかーん。
「世界で唯一のジャケットになりたい」ジャケットと「ジャケットを着てる唯一の男になりたい」男…何なんだよこの映画はってなるんだけど、ちょっと虚しさも醸し出しているのが面白い。

周囲からかっこよく見られたい、俺は映画を撮っている、俺は世界で唯一ジャケットを着ている男になりたい。
彼の主張からは自己愛や虚栄心の強さが滲み出ていて、自己呈示欲なんかもかなり強そう。
でも男はそんな彼を見つめるひとつの視線に対して大きな石を投げつけてしまう。
言葉にしないだけで、それはもしかしたら彼の望むような羨望の視線だったかもしれないのに…と私は思ったりもしたんだけど。

いずれにしても何だか虚しさの残る映画ではあったけど、ユニークな発想でなかなか珍しいタイプの作品なので、一風変わった映画が好きな人にはおすすめ。
しかしまぁ「お前は着るな 俺がキル!」なんて毎度日本版のキャッチコピー考えてる人のセンスが一番イカれてると思うわ、好きだけど。