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ドロステのはてで僕らのdeenityのレビュー・感想・評価

ドロステのはてで僕ら(2019年製作の映画)
4.1
本作を見た時に何となく感じたことですが、本作は劇団「ヨーロッパ企画」の初の長編映画作品なんですね。この劇団で代表作といえば『サマータイムマシン・ブルース』だと思うので、低予算でのタイムリープ物、尚且つ脚本の緻密さとは対照的などことない緩さ加減がクセになる作品です。

本作の魅力は何と言ったってワンカット風長回しによるタイムリープ物という挑戦的な脚本ですよね。まあタイムリープと言ってもたった2分後の世界の話で、たまたま経営しているカフェとその2階の自宅のテレビに時空の歪みみたいのが生じてしまい、壮大なスケールで過去や未来を行ったり来たりするわけではないのでこういう作品を撮ることも可能なわけですが、70分という短い上映時間も然り、よく練られた脚本だと思います。

そもそも『サマータイムマシン・ブルース』とは違い、そこまで時間軸を行き来できるわけではないので、やれることに限りがあるのですが、その中でのドタバタ劇が何とも味があるんですよね。
パラドックスが何かもわからないのにSFのにわか知識で2分後の世界を忠実に守るとか、そのわりに作品のタイトルにもなっているドロステ効果という合わせ鏡みたいなリスクありそうなことを試すとか。
しっかりと設定を活かしたコメディ要素を取り入れていて、わかったようでわかっていない観客も一緒になって楽しめる作品に仕上がってましたね。

まあネタバレになるので展開は伏せますが、タイムリープだからといって小難しくもなく、もちろんシリアスでもなく、見終わった後のほっこり加減は見てよかったとなること間違いないので、サクッと見てみて欲しい映画でした。

どうでもいいことですが、タイトルを読み上げたくなる度が異常な気がします笑
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