にくそん

ドロステのはてで僕らのにくそんのネタバレレビュー・内容・結末

ドロステのはてで僕ら(2019年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

オンライン上映会で鑑賞。面白かった~。上田さんは相変わらず、ものすごい力(タイムマシンとか超能力とか)をくだらないことに使う天才だなー。地球をめぐる攻防戦なんかには決してならない、ちんまりしたお話が愛らしくて大好き。

出てくる人たちが基本的に誰も彼もアホで優しい大学生みたいなヤツらで、これまた愛らしい。最後、テレビのスイッチを切る二人の姿にほっこり。

ドロステ効果をこんなに分かりやすく見せることができるのも素敵。結構ややこしい設定なのに、難なくストーリーに入り込めた。

ただ、置いてきぼりになる人をつくらないために、設定を浸透させる基礎演習的な映像が序盤はしばらく続くので、途中で理解できた(もしくは私のように理解できた気になった)人には少し退屈な時間ができてしまう。これは良心的に作ると避けられないところなのかな。

それと、上田脚本といえば最後のほうで伏線がどんどん結ばれていく快さが美点の一つだと思うんだけど、今回は映画の尺自体が短いせいか、その線(ネタを振ってからオトすまで)がだいぶ短い。シンバルや虫ガチャに「サマータイムマシン・ブルース」のヴィダルサスーンや河童ほどのカタルシスはなかったなあ。アイテムがいろんな人の手で持ち込まれて揃っていく流れは楽しかった。

今年はヨーロッパ企画の本公演ツアーが中止で、それはすごく残念だけど、“本公演に使うはずだったエネルギーで別の方角へ歩いてみる(新しい表現を探す)”ということなので、秋を楽しみに待っていたい。とりあえずアーカイブ配信、もう一度観てこようかな。1800円でリピートもできて舞台挨拶にメイキングまで見られるの、とてもお得。メイキングで中川さんたち演じるヤクザの闇金事務所のとこで「この事務所(狭くて殺風景でどんづまり感がすごくて)嫌だ~」って言ってるの、ツボだった。
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