ぐち

ようこそ映画音響の世界へのぐちのレビュー・感想・評価

ようこそ映画音響の世界へ(2019年製作の映画)
3.0
映画音響のドキュメンタリーなんだから映画音響の設備で見なきゃだよなって思って映画館で観たけど正解だった!
モノラル音声時代から始まって5.1chサラウンドになった『地獄の黙示録』の音の奥行きに感動してしまった。
私は貧乏耳だし、いつも映画館で聴く音は5.1chが当たり前だから、急に地獄の黙示録を出されても凄さがわからなかったかも。でもモノラル時代の音から丁寧に解説してくれたから差がわかりやすかった。

「天才の輪」を軸にしたこの映画の構成と解説もビジュアル含めてわかりやすかった。
ダイアログの音響編集専門の部門があるのハリウッド…日本では大体同じチームがやるよ…(大バジェット映画だったら日本でも別のこともあるのかな?)
ざっくり分けると、トーキー映画の幕開けから5.1ch、フィルムからデジタルへと移行した現代までの映画音響の歴史をさらう前半部と、「映画の音」を細分化して解説してくれる後半部がある構成。
個人的には後半部がとくに面白かったな〜解体される映画音響。興味深かった。

ただ、例に出される映画の音をもうちょっとちゃんと聴きたかったな。
すぐにインタビュー音声が被ってきちゃって…今解説してくれたその部分の音を聴いてるんですけど?!って思っちゃった。まぁそうすると映画が冗長になっちゃうから仕方ないとも言えるけど…でもせっかくだからな〜
『スターウォーズ』や『普通の人々』の音響編集前の素材が見れるなんて超絶貴重な機会には感動したけど、やっぱりすぐにインタビュー音声が被ってきちゃってちょっともったいない…あとR2D2の音響前と後を見せてくれるなら同じ素材で比べさせてよぉ…
あと「環境音」のパートでロバートレッドフォードが幼少期の経験を話すシーン、国立公園に行った時の環境音の広がりに感動したって話してるのにその環境音に音楽かぶせてくるのとかマジか?!って思った笑。レッドフォードが監督した映画の一部分の引用だから、元映画がそうなってるのかもしれんけど。なら引用する部分はそこじゃねぇだろ!今は環境音に感動させてよ?!
最後の主要スタッフのクレジットを環境音で締めるの素敵だなって思ったのにスタッフロールではふつ〜に音楽流すのもちょっとガックリした…
そこは環境音とダイアログ…は難しいから雑踏の音とかと効果音と音楽を組み合わせた音で締めてくれよ〜!環境音も環境音(アンビエント)だけだったしな…もっと豊かな音の種類がいっぱいあるでしょそういう話だったじゃん…

とか、ドキュメンタリーとしてのつくりはやや甘い気がした。
錚々たる顔ぶれに貴重な話をインタビューしてくれたのは有難いけどだからこそもっと細部を詰めて欲しかったかも。
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