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熱帯雨のkyokoのレビュー・感想・評価

熱帯雨(2019年製作の映画)
3.7
雨季のシンガポール、不妊治療と義父の介護で疲弊する中国語教師(リン)と生徒(ウェイルン)の間で起きたこと。

え?中学生!?と一瞬ぎょっとしたけれど、中学4年生=高校1年生と分かれば抵抗感は多少薄れる。教師の年齢ははっきりとは分からなかったけど、妊活が8年間ということから考えて30代半ば過ぎぐらい?
前作「イロイロ」ではこのふたりが親子という設定だったと知ったときは、心の底から「前作を観てなくて良かった……」と安堵した。

家でも学校でもほとんど表情を崩さないリンが、ウェイルンと一緒にドリアンを動物のように貪るのがちょっと笑えた。ていうか学校でドリアン食べていいんだ!?
彼との出会いが半身マヒで会話もできない義父との間にコミュニケーションを生み、一緒に武術大会を観るシーンまではすごく良かったんだけどなあ。鼻血ブーからあとの展開は理性がぶっ飛んでしまった16歳と今にもタガが外れそうな女教師にヒヤヒヤしてしまい、落ちついてみていられない。


女の人生ってなんだろなと考える一方で、テレビから流れるキン・フー、中国語の授業、「笑」と書かれた額、ウェイルンの武術。国民のほとんどが中華系のシンガポールから中国文化が消えていくことを憂う思いがしっかりとした背景となっていて、倫理感だの道徳観だのに邪魔されずに物語に入ることができた。
でもなんとなくざらつきも残る。
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