NonCorleone

涼宮ハルヒの消失のNonCorleoneのレビュー・感想・評価

涼宮ハルヒの消失(2010年製作の映画)
4.7
すっかり忘れていた。大切な映画を。僕の長くて短い高校生活にもう一度色を付けてくれる。

高校生活もあと一年ちょい。そろそろ受験のことに向けて準備せんとなぁと思いつつ、テスト勉強から逃げる口実に志望校をぼんやりと調べてると、ふと彼らを思い出した。小学生のときにどハマりして以来、ずっと忘れていた否正確には忘れてはないが、僕の脳内世界から消失していた彼らが戻ってきた。そして僕は徐にNetflixを開いた。

小学生ぶりに観て感じたのはこのうえないSFっぷりだ。あの世界観の作り込まれたSFを観ている時に感じる、自分の脳内予測範囲を凌駕する、井の中の蛙が大海を見たときのような、そこはかとない感覚。それをアニメ部分の伏線回収やキョンの超長い心情描写、宇宙人長門からのメッセージのシーンなどなど、ありとあらゆる所から浴びせられた。

でもなんと言っても、この作品のいい所はそんなSFがありながらも、最後は日常に収束する、つまり永劫回帰的部分にある。あの聞きなれた日常のBGMと共にキョンが部室の扉を開けることに、長門の思いと反するけど、安心感を抱く。この安心感があってこそのハルヒだよ。いつまでたっても成長しない仲間たち。日常があってこその非日常さ。

今僕の世界にはすずさんやデッカード、K、金田や宮本と共にSOS団の団員たちがいる。それだけで僕の高校生活はより一層楽しくなる気がする。

そして、もう彼らの新しい冒険はこの目では観られないかもしれない。でも僕にはこれで充分だ。憂鬱にエンドレスエイトにハルヒちゃんに消失、彼らの世界はもう堪能し尽くした。これからは僕の番だ。

高校生活が終わってからこの作品を観ても、ノスタルジアから涙を流さないといいな。
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