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運命じゃない人のmanamiのレビュー・感想・評価

運命じゃない人(2004年製作の映画)
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『WEEKEND BLUES』鑑賞時にこの『運命じゃない人』も観たいとレビューしたものの、実現までに2年半以上経過してしまった。内田けんじが『アフタースクール』の前に脚本・監督を手掛けた作品。
主演は中村靖日。名前だけでピンとくる人はかなり少ないのではなかろうか。でも顔を見れば「あ〜、はいはい、この役者さんね」となる。ところが「何の作品で見た?」と聞かれると、また答えに窮してしまう。少なくとも私はそうでした。「やすひ」さんという、イケメン感あるお名前も、初めて認識したわ。
彼が演じる宮田武は、絵に描いたようなお人好し。人気俳優の恋人を「プロ彼女」とか呼ぶ流行りがあるけれど、この宮田は「プロ善人」と称したい。
あんなに全力疾走した結果、それだけでいいの?呼び戻すんじゃなくて、教えてもらうだけ?そんなんだから、「あゆみ」からもあんなことされんのよ〜。
同級生からの親友である探偵・神田勇介との関係もすごく素敵で、二人が向かい合う朝食のシーンは面白くて温かくてつまり最高だわ。
ナイスアシストを決めるタクシー運転手、傷つきやすいレストラン店員、着信音でチョケてくる組長、男性陣は憎めないキャラばかりなのに、女性二人はなかなかアレよね。「女は平気でひどいことするんだ」的なことを神田が力説するシーンあるけど、それってそもそも内田けんじ個人の感想なのかい?
ストーリーのイメージとしては、山頂から転がり落ち始めた小さな雪玉が、回転するうちにどんどん大きな塊になっていく。この雪だるま方式をどう収拾するのかと後半はヒヤヒヤする思いもありつついたら、実は最初から麓に別の雪だるまが置かれていて、そこに激突!ってな感じ。
最後の最後も、今日はどんな1日になるのか、今度はどんな事が巻き起こるのかと、ごくごく普通の玄関前にいるだけの画なのにニヤリとさせてくれる。
内田けんじ、どんでん返しの名手だね。『鍵泥棒のメソッド』からもう10年、新しい作品はいつかな、まだかな。待ち遠しいな。

60
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