凛太郎は元柚彦

カサブランカの凛太郎は元柚彦のレビュー・感想・評価

カサブランカ(1942年製作の映画)
4.0
愛であり信念を貫いた男たちの話でもある。

「世界中には数え切れない店や酒場があるのに、俺の店に来るなんて」
「君の瞳に乾杯」
「俺たちの美しい友情の始まりだな」
名セリフ多すぎワロタw

ドイツの侵略を受け混沌と化したヨーロッパ。戦災を恐れたヨーロッパの人々は安住の地アメリカへ移住するためにカサブランカへ向かっていた。カサブランカこそがビザを取得して亡命を達成することができる約束の地であり、彼らにとって最後の砦だったのである。
時代背景の描き方がとにかく素晴らしい。
そして収まるべきところへ収まっていくストーリー展開も気持ちいい。
もちろんラブロマンスとしてわかりやすく秀逸な脚本だが、この映画の本当のテーマは"信念"だと俺は思う。
それに、あのラストシーンをちゃんと見れば本作のテーマに観客が気付くようになっている。愛で対立していた男たちが愛を打ち壊す戦争を食い止めたいという信念のもと稀有な友情が結託する瞬間。彼は言う。「われわれが勝つ」。まさに映画史に残るラストシーンである。クリストファー・ノーランはTENETのラストではカサブランカをオマージュしたと語っていたが、TENETを直訳すると"信念"なので、同じテーマを描いた作品としてより興味深く楽しめた。
ラブロマンス映画としてはもちろん秀逸だが、プロパガンダ映画としても歴史に残る名作だった。