ナレーションでも語られる通り、お弁当を3年間作るだけのお話。
ただその中には色々考えさせられるテーマがたぶんに含まれていたように思う。親子の関係性或いは親がどこまで子供の進路や将来に踏み込んで話をするかなど、家族の在り方について思いを巡らせた。
鑑みると、このお父さんがやっていることは実に凄い。
3年間欠かさずお弁当を作ると一言で言っても並大抵の努力では出来ないし、仕事をこなしながらシングルファーザーとして両立するのは至難の業だろう。それでも毎日誠実に継続する姿は子供にとってなによりの人生の生きる手本となっていたことが伺い知れる。
放任主義にも見える父親のもとで思春期特有の悩みを抱えながらもほとんどブレずにまっすぐ邁進できるのは、子供が素直で出来すぎな点もあるけれど。
これだけしっかりした子供だったら自由にさせていても明確に進むべき道を決め、歩んでいってくれるはず。
ただ、中々現実はこう上手く行かないんだろうなと邪推。
また、同級生にやたら目立つ女の子がいるなと思ったら森七菜だった。出演していた事を知らなかったけれどやはり存在感際立つ女優。
本作の天真爛漫な役柄は彼女の本質と共鳴しているような役柄で実に良い雰囲気を醸し出していた。
こんな形で物語・キャストともに作り込まれている印象の本作だが、最後に一点付け加えるならばこの作品の楽曲が全体的にウーン…といったミスマッチ感を漂わせていた。
イノッチの歌は上手だけれど、劇中使われている曲が軒並み作風とずれているような気がして、しかも繰り返される為にその点くどく感じてしまう。