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ディヴァイドのしゃにむのレビュー・感想・評価

ディヴァイド(2011年製作の映画)
2.9
「すべてディケイドのせいだ」(お決まり)

< 現実頭皮 >
急にハゲになる奴はみんな狂ってるってはっきりわかんだね(名推理)

・あらすじ↓
テロか自然災害か分からない何かが起こり都市を破壊し尽くす非常事態に陥る。アパートでその瞬間を目撃した人々はアパートの地下シェルターに逃げ込み難を逃れる。地下には食料の備蓄があり暫くは食いつなげる。アパートの管理人ミッキーはそんな状況にも関わらず食料を管理し独裁者と成る。外界から国籍不明の重装備防護服集団が現れ子どもを連れ去っていった。決死の探査で外界に出るとそこにはビニールのトンネルが…

・総評
今作は外界とのすっぱり隔離された空間に閉じ込められた人間集団に柵が出来、正気と狂気が発現し対立する…というよくある密室サイコスリラー作品と解せます。エグみが濃厚でなかなかの良作です。決して観ていて気持ちの良い作品ではないのでパッケージに釣られて鑑賞することはおすすめ出来ない。興味のある方の参考になれば幸いです〜

→2つのニュアンス
「divide」とはざっくり言いますと分断や分離みたいなニュアンスの英語です。あらすじを読めば一目瞭然。外界との分離を示唆しているタイトルだろうと察せられます。それだけではカクテル並みに甘いです。タイトルにはもう一つの含みがありましてそれは正気と狂気の分断の示唆と考えられます。

→ お手上げ状態
パッケージに惹かれて鑑賞した口なので関心は「何故?」の一言に集中してました。いったい外界では何が起きているのか…これが視聴者の最大の関心でしょう。しかしその疑問に固執すると全然楽しめないです。今作において外界の状況は薬味程度の添え物効果しかありません。主眼は内界にあります。注目するなら人間ドラマに集中を。この点を了承しておかなければハゲしく怒るやも…

→ 正気と狂気
この手の作品を見慣れていると習得出来るセオリーがあります。外と完全に締め切った環境下で芽ぶくものは即ち狂気です。人間には潜在的に野蛮性があります。平生時は理性のストッパーがあって眠っているだけで何らかのショックを与えれば目覚めます。非日常的環境下において狂気は活発に動きます。今作は正気と狂気が対照的に描かれました。取り分けキツいのがカニバリズム。防護服の連中を殺し死体が出来ます。食料が乏しくなると生存本能が露骨に働きます。オノでぶった切って小分けにして…狂気の世界です〜

→ 支配に至る病
「暴力=支配」とするならこのシチュエーションで現れるのは支配者です。まずは高慢なアパートの管理人ミッキーの独裁。わずかな食料を分け与え本人はこっそり好きなだけ食べてます。悪い王様です。歴史のように暴君は良識ある市民の手で倒される。ミッキーを拷問して民主的に暮らす手筈になる…と思ったらまた偉そうにする奴らが現れます。食料を独占し、か弱い女性を慰み者にし、歯向かう者には食料配給を規制し、面白半分でゲームの敗者に死体切りを命ずる…良心が機能しなければやりたい放題です。ミクロ視点で社会構造を捉えた作品とも見えますが。

・終わりに
ジャケ借りは気をつけましょう。一期一会の楽しみもありますが今作は要注意です。人間の醜い本質を直視する悪趣味な快感は人を選ぶかと。ハゲるのも本質なの…?
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