主人公三上が望んだ形ではないにせよ自分のルーツに触れることでもうあの世界には戻らないとおそらく決心した。そこはめちゃくちゃ良かったんだけど......元受刑者がシャバに戻っても生きづらいみたいな話だと思ったんだけど世間の目や法制度云々ではなくあくまでもそれは個の問題として描かれていて、あ、そっちかと。別にそれでもいいんだけど三上が己と向き合う瞬間瞬間の演出があまりにも脂っこすぎでちょっと乗れず。しかも解決の糸口が自分というよりは周囲によるものなのでなんだか読後感が薄い。まあそれはタイトル通りなのでいいんだけど、最後が......原作読んでないんだけどなんとも日本映画っぽい閉め方で冷めた。
結局個で完結しない物語を描くなら三上を損得勘定無しで想うようになった津野田の心情の推移がもうちょっとあってもいいかなと思った。
