たにたに

すばらしき世界のたにたにのネタバレレビュー・内容・結末

すばらしき世界(2021年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

🔸刑務所仕込みの歩き方

🔸先生

🔸逃げるのは敗北ではない

🔸シャブ打ったみてぇだ。。


▪️感想▪️
社会問題に切り込む、という点ではかなりページ数の薄い作品だと思いますが、
ムショで約20年過ごした男が出所し、そこで出会う人間との関係を、心理描写をコアにして表現している見事な作品とは思います。


若い頃に反社会集団に入る人間や犯罪を犯す者は、その原因が小さい頃のトラウマから来るものである、という大前提をもとに、
三上という人間が、過去に親に捨てられた過去から、身寄りがなくヤクザにお世話になっている、そこからもたらされる短気な部分や、弱者を守ろうとする正義心が空回りし、さらに元犯罪者というレッテルから現代社会に馴染めない1人の男を描いている。


誰かがカツアゲされていたり、いじめられているのを見て、それを見て見ぬフリをするのが今の人間の正しい生き方である。
そんなのは確かに、男じゃない、のかもしれませんが、たかが他人であり、自分の身を守ることが最も大切な生き方であるというのは、心のどこかで皆思っているはずである。

三上が、カツアゲしてるヤンキーをボッコボコにするのを見て逃げる津野田も、当然の反応であり、
逃げることは敗北ではない、という言葉は、いつも逃げている我々にも響く言葉である。
逃げることは、次に進むことへの一歩であり、退くことではないのだ。
挑んで自分の可能性を潰すようならば、逃げて次の策を考えて進むほうが合理的だ。
それは、孤立してしまうというこではない。少ないけれども、心を打ち解ける仲間や人がいればいいじゃないか。
たにたに

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