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すばらしき世界の556のネタバレレビュー・内容・結末

すばらしき世界(2021年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

このタイトルバックは皮肉だと思った。

オープニングの出所するシーンでまず、反省してません的なセリフをかましてゾクっとさせて、だけど見ているうちに、決して良い人とは言えないけれど真っ直ぐな三上のキャラクターを応援したくなってくる。映画の中でも、三上の周りに人が集まってくる。
優しいストーリー…

だから途中ハラハラする。我慢してキレないで何も起こらないでって思いながら、でもそうやって波風を嫌う人が冷たい社会を作っているような気もするし。
ラスト近くの職場で愛想笑いするシーン、感情が複雑過ぎて泣いてしまった。
よかったという安堵ときっと社会に馴染んでいけるっていう希望と、本当にこれでよかったのかという…モヤモヤした気持ち、でもそれでも死ぬわけにいかないしって三上も言ってたし、これからだっていう、人との繋がりを持ってやっとこれからやり直せるんだっていう明るい終わり方をする、のかと思ったのに!
生きていってもよかったじゃないか!とショックを受けていたらここで「すばらしき世界」。皮肉だなあ。

確かに、必死に生きようとする人に、きちんと見てくれる人・助けようとしてくれる人が集まってくる世界はすばらしい。それに応えるように前向きにがんばろうとする人もすばらしいしその人生が残るのも希望がある。でも、生きてて欲しかった…いや、こんなに我慢が必要な社会は生き辛い過ぎるからこれである意味よかったのか…

一週前に「ヤクザと家族」を見ていたので、余計にショックが大きかった。
こっちはやっていけると思ったのに。
いずれにしても、今の時代のヤクザは生き辛いらしいしシャブは一線引かれているらしい。
(でも順調な三上の最高な気分を叫ぶセリフが「シャブ打ったみたいだ!」って 笑)

母親の愛情がどうとかが非行や裏社会に繋がるのが安直な気もしたけど、子供の頃の環境がその後の人生を左右してしまう、けれどそこから抜け出そうとしてたしできそうだった三上の物語。よかった。

それにしても全員の演技がぐっと映画に引き込まれた。
三上が逃げることを受け入れたシーンの大賀の表情がもうなんかすごく印象的。
長澤まさみが一見余計な役どころに思えて、でもあの軽さというか外野感がほんとに世間ってかんじ。
役所広司は言わずもがなだけど、途中チンピラ2人に暴力を振るうシーンで笑っている人がいた。狂気と笑いは紙一重というか行き過ぎると人って笑っちゃうらしいけど、そういうことかと思った。
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