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すばらしき世界のtakeのレビュー・感想・評価

すばらしき世界(2021年製作の映画)
4.2

社会のレールを外れた人やそこに乗ることができない人に目を向けさせる映画でした。焼肉屋での吉澤の言葉がそのままの現代社会を表している。作中では、冷たい視線でよく知りもしない他人を見下すような態度を取る人や、風貌や噂から身に覚えのない万引きの疑いをかける人もいたり、知的障害のある人に暴力を振るう人など、社会における周りの手助けが必要な人(これ映画でいう「普通ではない人々」)への不寛容さが描かれる。

役所広司さんの演技がすごい。暴力的でありながら、愛嬌さえも感じる三上という存在。ひたむきに努力する姿には、途中から愛おしくもなる。

『知ろうとすること』。最初は三上に対して疑いの目や好奇心から彼に関わっていた人々が、次第に本質的な彼の純粋さ・優しさ・正義感に触れ、彼を理解し手助けしていく。
彼らは、表層的な三上だけを見るのではなく、彼の過去や人柄を知ろうとしたからこそ、彼を受け入れて寄り添うことができていた。
知ること、そして知ろうとすることで、誰かに対して優しくなれたり、素直になれたりするんだろうか。人の冷たさも描きながら、救いのような人の温かさも垣間見れる素敵な作品でした。
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