髭ゴリラ

すばらしき世界の髭ゴリラのレビュー・感想・評価

すばらしき世界(2021年製作の映画)
4.8
圧倒されました...

感服致しました...

間違いなく西川監督の代表作。

間違いなく役所広司の代表作。

さすが分福からの作品。

こうしてレビューを書いていると
作品鑑賞中も「こんな感想書いてみよ」と
言葉を用意するクセがついてしまう。

本作品途中にも言葉をいくつか用意したが

観賞後には完全にぶっ飛んでいた...

反社会的な存在。マイノリティな存在。
しかしこれは間違いなく私たちを含め
すべての人間の話。

そして愛着を含む「障害」
それらに伴う人的な「二次障害」の話。
また、その障害が誰かにとっての
障害となるかもしれないという連鎖。

「血圧の上昇」と「感情の起伏」が
連動するかのように描かれていることにも
繊細さを感じた。

誰かに褒められたかった。
誰かに認めてもらいたかった。
いや、母親に認めてもらいたかった。
ただそれだけが欲しかった。

故に反社会勢力に身を置いた過去。
人に希望を抱き
人に失望して
その繰り返しの中
産まれてからずっと同じ空虚感に
もがき苦しむ主人公。

それをまるごと体現している
役所広司の演技...見事です。

「表情」「目」「息づかい」
「癇癪」「仕草」「背中の見せ方」

もう演技じゃないんです。
ザ・ノンフィクションかのようだった。

「狐狼の血」「3度目の殺人」での演技も
圧倒されたが

すべての人、もの、空気、色彩までもが
役所広司を引き立てるかのように演出されている。
また撮影している裏方のスタッフたちの
プロフェッショナルまでも滲み出ていることに
感動が止まらない。

その姿を見るだけでも絶対に価値がある。

もう、ストーリーがどうとか
結末がどうとか

そういうレベルではない気がする。

誰もが俯瞰せず
自分を世界観に取り入れて観賞すべき映画かと思う。

また何度か観たい!
あぁ、語りたい!
髭ゴリラ

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