このレビューはネタバレを含みます
時間の矢は前にしか進まない。
優しさが暴力にもなりうる世界で、優しさが優しさとして機能していって、嬉しかった。生きることに対して適当ではないから、一生のうちに出逢うはずのひとがひとときに集まって、社会的生活の空白を埋めていくようにも思えた。時間が許されていたら、別の優しさが動き始めたのかもしれない。
自分のことのように悔しいのは、生き方を教えてくれるひとを、私も欲しているからだろうか。祈りのような青空。
原作小説は、甘えや狡さなどの心理描写が淡々と鋭利で、報告書の様相が強い。やはり、事実は小説より奇なり。評価不能。