ダメな映画を観た直後だったので、めちゃめちゃいい映画に見えた。少なくとも「人間」に対して誠実な映画なのは間違いない。
犯罪者の社会復帰、生活保護の制約、福祉施設の労働問題など、多くの現実的課題も真摯に映し出している。
北村有起哉は「冷徹に見えて実は血の通ってる人」を演じさせると右に出る者はいないだろう。
しかし、本作で特筆すべきは六角精児で、実在しそうな人格を演じきっていた。彼がギターを弾くシーンも上品に挿入されて微笑ましい。
西川美和の映画は会話のシーンが特徴的だと思っているのだが、今回も同様だった。強いて言えば、中動態的な瞬間が訪れるのである。
最後に、主演の役所広司が素晴らしいのは言うまでもない。
(あと、バンダイナムコアーツは映画出資用のブランド作った方がよいかと思います。)
【メモ】
『サンダカン八番娼館 望郷』(1974)
『シャブ極道』(1996)