shinya

すばらしき世界のshinyaのレビュー・感想・評価

すばらしき世界(2021年製作の映画)
3.0
西川美和はこんなに通俗的だったろうか。
インテリのリベラル層から説法を説かれてるような嫌悪感を感じた。

特に終盤ある出来事をきっかけに主人公の三上が完全に社会に迎合する瞬間が訪れる。
その瞬間は観客の三上への価値観を反転させる描写であり、それまでなら暴力で解決していた三上が、暴力を封印したが故に社会に屈した描写だ。(観てるこっちは殺っちやまえ!という感情になる)

それは観客の底にある暴力性を暴くために露悪的に撮ってるわけで、更にラストのタイトルバックがポスターのように白地ではなく喪に服す意味の黒字で空に映るのも安直で、西川美和監督からの「皆さんはどちらが素晴らしい世界だと思いますか?」という問いだが、その問いが説法臭くて嫌悪感が出るのだ。

それまでの暴力とラストに必要な暴力の意味は全然違うし、問題をすり替えて、三上が社会に屈したように描くのどうなのか?と思うのだ。
話の着地もあまりにも安直な結論で、納得いかなかったのである。

つまるところ僕は素晴らしき世界を問うのではなく、西川美和にはもっと深く掘り下げてもらい、新たな価値観、その先の新しき世界を享受させて欲しかったのだ。
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