サガン

すばらしき世界のサガンのレビュー・感想・評価

すばらしき世界(2021年製作の映画)
4.8
◆Under the open sky◆
役所広司に鳥肌たった。
日本で1番上手いんじゃないだろうか?

殺人罪の刑期を終えた元ヤクザの社会復帰。
服役してる間に世相が変わってしまった社会にいきなり放り出される戸惑い。
疎外感にもがく前科者の心情がリアルに伝わる。
ふいに三上が泣きだすシーンに胸がつまる
ご飯を食べながら泣けてくる三上
運動場で母を想い転げ泣く三上
コスモスをもらって咽び泣く三上

1度レールから外れた人間には冷淡な社会のしくみ。
介護施設での件。アレを平気で流せなければ、はみ出しちゃう社会
"一般社会の普通の人"の残酷さ。
どこが「すばらしき世界」なのかと胸が軋む

決してただの善人ではないがチャーミングな三上に周囲の人も惹き付けられる。
彼を支える人たちはこの"生きづらい世界"に気付きながらも耐えているんだろう

「ザ・ソプラノズ」のトニー・ソプラノを彷彿とさせる三上のパーソナリティ。
怒りのコントロールが出来ない、いわゆる反社会性人格。
おそらく過酷な幼少期が原因であり、刑期中に治療するのが望ましいが現実的には無理だろう

色々な余韻を生む西川美和監督の傑作。
英題は「Under the open sky」
"娑婆は我慢の連続ですよ。
我慢のわりにたいして面白うもなか。
そやけど、空が広いち言いますよ"
からの~ラストの青い青い空

仲野太賀、六角精児、キムラ緑子など脇も完璧だった。
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