ギズモX

プリンス・オブ・エジプトのギズモXのレビュー・感想・評価

プリンス・オブ・エジプト(1998年製作の映画)
4.6
旧約聖書の出エジプト記の一章から一五章までをミュージカル化したドリームワークスによるセルアニメ映画。

『シンドラーのリスト』のスピルバーグが制作に関わっており、ハンスジマーによるダイナミックな音楽に超絶スペクタクルな演出が合わさっていて『ライオンキング』に匹敵する位の美しい作品にへと仕上がっています。

僕がまだ十にも満たない頃に初めて見た時の率直な感想は、(ユダヤ人って白くないんだな)だった。
ユダヤ人の祖であるヘブライ人達の見た目はエジプト人と変わりはなく、忠実と同じように中東の人間として描かれている。

また、出エジプト記というかなり際どい話でありながら、エジプト人を悪としておらず、
(どうしてこんなことになってしまったのか?)
と、両者達が抱える迷いを鮮明に映しだしており、いろんな人達に配慮しつつ、なおかつユダヤ人の起源をできる限り正確に、そして壮大に描こうとしている。

一番考えられてあるなと思う場面は、
物語の最後、紅海を渡り生き残った人達の中にエジプト兵が何人かパッと映るんですね。
そうなんすよ、彼等と行動を共にしたエジプト人本当にいたらしいんですよ。
あの描写は本当に素晴らしいと思う。

その他にも、この映画は2015年に公開されたあの大爆走映画『マッドマックス怒りのデスロード』の世界観ととても似ていて『怒りのデスロード』でマックスが砂嵐に呑まれたシーンは、モーセがエジプトから逃げて砂嵐に呑まれた場面と重なってくる。

出エジプトを実写化した作品は最近だとリドリースコットの『エクソダス』があったけど、間違いなくデスロードの方がエクソダスしていた。

聖書の話だからといって敬遠してる人もいるかもしれないけれど『怒りのデスロード』の雰囲気や世界観が好きな人はマジで見てほしい作品です。
ギズモX

ギズモX