唯

プリンス・オブ・エジプトの唯のレビュー・感想・評価

プリンス・オブ・エジプト(1998年製作の映画)
3.5
自らの出自の真相が明らかになり、もがき苦しむストーリーは、ギリシア悲劇やシェイクスピアでもお馴染み。

王子という立場に在りながら、真実に目を瞑って生きることを赦さず、迷い揺れるのは心根の優しさがあるが故。
そもそも、今居るこの場所だって、自分の生きるべき場所、自分に一番合う場所かなんて判断に難しいし、それがどこに有るかなど分からないもの。
しかし、自身の存在理由を問い始め向き合い始めると、社会や世界のの捉え方も変わって来る。
全ては運命に導かれるが如く、与えられた使命を全うする為、人生は大きく動き出す。
生きることの意味を見出した時、人生は初めて始まるのかもしれない。

あらゆる物事は犠牲の上に成り立つ。
何某かの犠牲なくしては社会を変えられない哀しさは、古代から共通の問題。
あらゆる人々と思想と信念とが共存共栄する道は無いのだろうか。

アニメーションでありながら、キャラクター達の表情の情感豊かなこと。

モーセの生き様を見ると、光の当たらない場所を知っている者こそ、上に立つべきだと思わされる。
弱さを持つ者のみが真の強さも持てる、はず。
唯